My Architecture Report

建築探訪エッセイ。だいたい月一回更新。

2020-01-01から1年間の記事一覧

生きられる地元 / オモケンパーク、熊本城特別見学通路

新しい職場が決まった。引き続き東京で働くことになる。仕事始めは12月なので、今は実家のある熊本に長めの帰省をしている。帰省中は時間があるので、アニメを最初の5話ほど見て、他に簡単な下調べをしたのち、『鬼滅の刃』の映画を観に行った。とても面白…

多摩川クラシコ / 等々力陸上競技場

10月31日の土曜日、冷気を持ち始めた風が上空のほこりを吹き払って青い空がくっきりと現れた秋晴れの日、朝から京王線で多摩川を渡り、下車したのは京王よみうりランド駅。さらにロープウェイに乗り換え、午前の遊園地を見下ろしながら丘を越え、よみうりラ…

圧勝するオブジェクト / 角川武蔵野ミュージアム

このところ文字数が増加傾向にあったが、今月はさらっと書いてしまおう。隈さんの建築を取り上げるのも、昨年の洋光台団地に続いて二回目であるし。そう、今回訪問したのは、隈研吾さんの設計で東所沢に完成したばかりの、角川武蔵野ミュージアム。どんより…

気になる建築、そして町 / 真鶴出版2号店

2019年の11月、ある月曜日の午前、前職の会社での部署の朝会。部員が毎週一人ずつ行ってみたい建築についてシェアする「気になる建築」のコーナーで、僕は「真鶴出版2号店」についてプレゼンしていた。最初のスライドでは、東は房総半島の東に広がる太平洋…

下北プラトー / BONUS TRACK

大学進学で地方から東京に出てきた当時の自分にとって、下北沢は憧れのお洒落スポットだった。地元の大学に進んだ友達も、初めて東京に遊びに来たときにはすぐに下北沢にかけつけ、はしゃぎ、舞い上がっていたのを覚えている。時は徐々に流れ、街への想いも…

空気をかたどる / TUNNEL、Ohnari Alley

4月と5月の退職に伴う有給消化期間は丸ごとステイホーム、すなわち在宅休暇として過ごしたのち、緊急事態宣言が解除されて社会が徐々に以前のペースに戻りはじめた6月からは、僕も知り合いの事務所を手伝いに行くなど社会復帰しはじめている。とはいえ、…

感性や嗅覚 / うちの近所

3月末で会社を退職した。職場に不満があったわけでも、次が決まっているわけでもないが、入社してそれなりの年次となり、一区切りして環境を変えてみようと思った。手続き上は5月末で退職となり、3月末が最終出社、4月と5月が丸ごと有給休暇だ。最終出…

武蔵野で再会 / さくらこみち

会社の同じ部署の方が2人、それぞれ同時期に自ら設計された自邸が竣工し、皆で内覧会にお邪魔する予定だったのだが、おそらく賢明な読者はすぐに予想したとおり、新型コロナウイルスの影響で延期になってしまった。会社が原則在宅ワークの方針になり、不要…

大宮へ行かないか?土曜日に / 大宮図書館

首題のようなテキストメッセージを誰かから受け取ったわけではないが、2月のある土曜日、晴れて暖かかったので、昨年オープンしたばかりのさいたま市立大宮図書館に行ってみることにした。午前中は家でこまごまとした用事を片付け、昼過ぎに出発。だが、最…

さりげなく至宝を / 刀剣博物館

一月某日のよく晴れた午後、両国駅で総武線を降りる。とはいえ、駅前にごった返す多くの人たちとは違い、大相撲初場所の観戦に来たわけではない。相撲部屋の名前が書かれ、青空に向かって色とりどりに突き出たのぼりの数々や、当日入場券売切れの貼り紙も納…